ISO9001とは
QMS=Quality Management System
と呼ばれる、「品質」を確保するためのマネジメントシステム(管理する仕組み)を
①どのように構築(文書化や物理的な対策)し、
②どのように運用(ルールや手順の実行)するかを
定めた国際「規格」であり、認証のために審査時に要求される事項が示されています。
【参考】規格の入手方法
規格は「一般財団法人 日本規格協会 Web Store」WEBサイトでご購入可能です。
ISO規格書は高価なので、JISQ9001:2015をご購入いただくか、書籍になっているものが安価でお奨めです。JISをご購入いただく場合は、ダウンロード版が扱いやすくお奨めです。なお、JIS版はISO版の和訳したものとお考えください。
ISO9001でいう品質とは
【形のあるモノであれば・・・】
「精密さ」「耐久性」「見た目の美しさ」「安全性」「美味しさ」といった特性
【形のないサービスであれば・・・】
「提供情報の正確さ、新しさ」「メニューのバリエーション」「接客の気持ちよさ」「仕上がりのよさ」「店舗の清潔さ」「分かり易さ」といった特性
上記のような特性について、法規制を確実に満たし、「顧客満足」を満たす程度を意味します。
ただし、ISO9001の取り組みは、顧客満足を満たすだけでなく、顧客満足の向上が取り組む組織にとってプラス(例えば売上が上がる)になってはじめて意味がある活動となります。
マネジメントシステムとは
「個人」が「単発」で実施する改善活動ではなく、PDCAサイクルを回し続け、改善活動を組織的に推進するための仕組みがマネジメントシステムです。
取り組みの結果期待できること(例)
ISO9001認証取得に取り組むことによって、次のようなことが期待できます。
【思い込み、無理無駄の排除、効率化】
自組織の業務内容・業務の流れを把握し、「やっているはずのことがやれていない」状態を是正したり、「同じ趣旨の業務を2回も行っている」といった無理や無駄を発見し、効率化(時間短縮、経費削減)を実現することができます。
【業務品質のばらつき抑制】
職務分掌や権限の見直し、業務の標準化により、必要に応じて属人的状況を是正・改善することができます。
※ISO9001は属人的であることが絶対的に悪いとは言っておりません。
【人材の有効活用、教育・訓練】
各業務に必要な知識、技能、経験、資格を見直す活動の中から、必要な人材、適材適所が見えてきます。また、各人員のキャリアパスを描く材料となり、実効性のある教育訓練や、モチベーションのアップに繋げることができます。
【事業継続性の強化】
規格では相当量の記録作成を要求しているので、一時的には業務負荷が高くなります。その代わり、トレーサビリティが上がるため、トラブル発生時の対応(例えば顧客からの報告書提出要求時等)、改善活動が容易になる(改善ポイントが特定し易くなる)ため、長い目で見れば組織力が向上します。
ISO9001認証取得までの主な行程
ISO9001認証取得までの工程は、次のようになります。コンサルティングが入る時期は、お客様のご要望により異なります。
ISO9001規格の概要
次の表は、ISO9001規格の概要です。ISO9001規格のご購入については、こちらをご覧ください。
項番 | タイトル | 概要 | 審査対象 |
---|---|---|---|
序文 | – | ISO9001の基本となる概念の説明 | |
1 | 適用範囲 | ISO9001規格の立ち位置、対象についての説明 | |
2 | 引用規格 | ISO9000を引用することができる旨を記載 | |
3 | 用語及び定義 | 用語の説明はISO9000にあることを記載 | |
4 | 組織の状況 | 組織が抱える課題や利害関係者の要求特定、適用範囲の決定 | 〇 |
5 | リーダーシップ | トップマネジメントの責任 | 〇 |
6 | 計画 | リスク・機会の特定、(分析)、対応、目標設定 | 〇 |
7 | 支援 | ヒト、モノ、情報といった資源の管理、社内外のコミュニケーション、文書管理 | 〇 |
8 | 運用 | 製品・サービスの設計開発、リリースといった実務に関する要求 | 〇 |
9 | パフォーマンス評価 | パフォーマンスの分析・評価、内部監査、活動の振返り | 〇 |
10 | 改善 | 不適合の是正と改善の継続 | 〇 |
規格要求の繋がり

要求事項の繋がりを意識した一貫性ある・根拠のある活動が必要であり、「何となくこんな目標を設定した」などという活動はアウトです。「こういう課題があるから、こういうリスクが特定された」というような活動が必要です。
【構築フェイズ】現状把握
【適用範囲の決定】
適用範囲とは、QMSを運用する範囲のことであり、「認証範囲=審査対象範囲」とお考えください。
推進体制の例
プロジェクトが長期化するパターン
1.検討事項に結論が出ない
深く検討することは必要ですが、最初から最適解が出るに越したことはありません。ただ、最初から最適解が出ないからPDCAサイクルをまわすことが要求されています。
trial&errorの精神が根底にありますので、どこかで割り切ってtrialが必要になることもあるとお考えください。
2.現状の身の丈を見誤らない
冒頭でお伝えした通り、最初の1年はパフォーマンスを上げるための枠組みを作る基礎工事の期間だとお考えください。審査においても、余程の事情(社会的影響の大きい事故を起こしたような過去がある等)が無い限り、最初から高パフォーマンスが求められることはありません。まずは「ちょっと頑張ればやれること」「分かってはいたけど先送りにしてきたこと」から始めてみるくらいが妥当かもしれません。
ISO9001認証取得後の審査サイクルと審査間の活動
ISO9001を取得した後は、定期的に更新審査を受けることになりますが、その間に従業者の教育や内部監査などを行います。
【審査サイクル】
ISO9001の更新審査は3年毎にあります。更新審査が無い年には、継続審査(定期審査)があります。
【審査と審査の間の活動】
ISO9001を取得したら、更新審査が3年毎にありますが、各審査の間に、「運用計画の策定」「運用計画に則した活動」などが必要です。また、事業内容や組織体制などに変更があったときにも、それらの変化に応じた対応が必要になります。
※運用負荷を下げるためのヒントは規格にあります。規格要求の解釈が進めば進むほど、「やらなくてもよいこと」「どの程度実施すれば適合するのか」が見えてきて運用負荷の低減につながります。
ISO9001認証取得コンサルティングをご検討の方は、まず、お電話もしくはお問い合わせフォームより弊社までご連絡をください。