公開:

QMSの登録範囲はどう決める?

原則

QMSの登録範囲はどう決める?

4.1(課題の特定)、4.2(利害関係者からの要求の特定)の結果をふまえて登録範囲を決めるという点は他のマネジメントシステムと同じです。その前提で、QMSの登録範囲を決める際、最初に検討すべきは対象とする事業活動です。

EMSやOHSMSはサイト(場所)単位での登録ですが、QMSの場合は事業活動単位となります。登録証には対象となる事業拠点も表記されますが、対象となる事業活動があっての関連事業拠点という位置づけです。

事業活動とは

例えば、弊社の場合だと大雑把に言えば「コンサルティングサービスの提供」、もう少し詳しく表現すると「各種認証の取得支援、マネジメントシステムの運用支援」となります。株式会社帝国データバンクであれば「企業の信用調査」といった具合です。

具体的には

あくまでも例ではありますが、想定する事業活動のプロセスを洗い出し、それに関与する組織を組み込んでいくのがお奨めです。もう少し踏み込めば、候補となる事業のプロセスフロー図などを作成し、その中に登場する部門等を登録範囲に組み入れていくと分かりやすいと思われます。

不完全なプロセスフローを対象とした登録は認められない

原則としてある事業活動の一部のみを対象とすることはできません。例えば、製造業であれば、ある製品の製造にまつわる一連のプロセスの内、設計のみといった限定は認められません。設計から最終的に製品を納品するまで(正確に言えば納品後の保守なども含みます)全てのプロセスを対象とする必要があります。

ただし、設計のみでサービスが完結するのであれば、限定は可能です。例えば、製造業でありながら設計のみでもサービスとして提供することがある場合などです。この場合は設計サービスだけでも顧客満足度もはかることができ、適切な登録範囲として認められます。

まとめると、事業は設計、開発、営業、製造、出荷、保守といった様々なプロセスで構成されていますが、そのプロセスの繋がりを断ち切るような限定や、プロセスが欠けている状態での登録(保守だけ抜くといった状態)は不可ということです。

ではこれは?

それでは、東京工場と大阪工場があり、「大阪工場における〇〇の製造」といった登録は可能でしょうか。これは大阪工場における製造プロセスが全て網羅されていれば可能です。なお、「大阪工場における〇〇の製造」プロセスの内、例えば設計のみ名古屋オフィスで行っているといった場合、名古屋オフィスでの設計業務を取り込む必要があるでしょうか。これは取り込む必要があります。外した場合、不完全なプロセスフローになってしまうからです。

一部のプロセスを委託しているときは?

例えば、上記の例で設計のみを外部に委託している場合はどうすればよいでしょうか。この場合は、その委託先を供給者として管理する必要がありますが、登録範囲に巻き込む必要はありません。外部委託するとは言え、設計自体も自社の責任下で行われるので、不完全なプロセスフローではないからです。なお、委託先を巻き込んでもよいのですが、グループ会社などでなければ意思決定の仕組み等の問題で実態上は難しいと思われます。

一覧へ

まずは、お電話またはフォームより
お問い合わせ・お見積り、もしくは資料請求をください

受付時間:平日 9:00~18:00