5.17認証情報
5.17認証情報
概要
5.16識別情報の管理とほぼセットのような管理策で、5.16で特定した対象によるアクセスであることを確実にするための予防の管理策です。
認証情報とは?
所謂パスワードが代表例です。身近な例では、PINコードや物理的なトークン(厳密にはそれを利用してやりとりするワンタイムパスワード等のデータですが・・・)も認証情報であり、5.16の識別情報で触れた虹彩情報等は識別情報であり、認証情報でもあります。認証情報が増えれば増えるほど管理の手間が増え、リスクも大きくなるので、近時ではパスワードを利用しない認証方法や、シングルサインオンの導入、パスワードそのものを管理するシステムの利用などが推奨されています。
ただし、それぞれ異なるリスクがあるので、注意も必要です。若干手間がかかりますが、多要素認証(パスワードを入力⇒登録したメールアドレスや携帯番号等に認証コードが送られてくる⇒認証コードを入力してログインといった認証方法)が無難かもしれません。
具体的には?
1.パスワード等の発行や割り当て時の注意点
パスワード等を発行する場合は、必ず本人確認をしましょう。
また、最初に発行するパスワード等(所謂初期パスワード)は、推測されにくいものを設定もしくは生成し、割り当てられた各自が速やかに変更するように要求しましょう。
2.パスワード等を利用、保管する際の注意点
従業者には、パスワードを他者に知られることが無いよう指導しましょう。また、パスワード等が漏洩した場合、もしくは、そのおそれがある場合は、変更するように指導しましょう。
3.パスワードの質についての注意点
従業者には推測されやすいパスワードを設定しないよう指導しましょう。また、パスワードを使いまわさないよう指導しましょう。
4.推測されやすいパスワードとは?
- 対象者の個人情報に関連する情報(例えば電話番号や生年月日等)
- 単純な文字や数字(1234、0000、aaaa、abcd等)
といったものです。なお、複雑なパスワードとして、英数記号大文字小文字などを混在させたものが考えられますが、近時では単純に桁数や文字数が多いパスワードのほうが強力と言われています。これは総当たり攻撃に対する耐性と考えられます。
5.定期的なパスワードの変更は有効?
意味が無いとは言えませんが、変更に伴うリスク(パスワードの使いまわしや記憶しきれないことによる保管リスク等)を考慮すると疑問があります。ただし、止むを得ず共有パスワードを利用している場合は、退職者や異動者等が発生する都度変更しましょう。
6.覚えやすいパスワードとは?
パスフレーズなどの利用が推奨されています。パスフレーズとは、パスワードの一種で、単語を繋げたりして長文化したものを指すことが多いです。例えば、「teikokudatabanknetcommunication」だと31文字になります。
ただ、これだと覚えやすいですが弊社のパスワードとして利用すると推測されやすくもあるのでイマイチです。また、「teikokudetabankunettokomyunikeisyon」のようにローマ字読みに変換したりといった工夫も考えられますが、入力ミスが増えてしまいましたので、あまりに凝ったパスフレーズも考えものです。
7.システム上の注意点
まず、パスワード入力試行回数は制限を設けるようにしましょう。よくある一定回数誤ったパスワードを入力するとロックされるような仕組みです。パスワードの変更を求めた際、過去の利用したパスワードの再設定を弾くような仕組みや、前述したような推測されやすいパスワードや文字数の少ないパスワードを弾くような仕組みも有効です。
また、単純ですが、目視でパスワードを盗まれないよう、入力したパスワードが識別できないように表示するような仕組みも検討しましょう(入力した文字や数字等が「*」で表示されるような仕組みです)。同じ目的で、キータッチを視認できないような衝立やカバー等の設置も検討の余地があります(ATMのような感じですね)。
不採用の可能性があるか?
管理策の内容的に不採用とする理由が見当たらないため、全ての組織において採用されるべき管理策と考えられます。
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