OHSAS18001からISO45001移行支援について(既にOH&SMSが存在する場合の移行支援)

ISO45001認証パターン

  • 1. OH&SMSが全く存在しない

    2. OH&SMSは存在するが、受審していない

    3. OHSAS18001認証は取得しているが、
    プライベート認証
    (認定機関の認定が無い認証)

    ISO45001
    新規認証審査

  • 4. 認定機関の認定があるOHSAS18001
    認証を取得している

    OHSAS ?ISO 移行審査

※ISO45001 もプライベート認証でよろしければ上記以外のパターンも存在します。

OHSAS18001とISO45001の規格要求対比

IS045001:2018 OHSAS18001 : 2007
4 組織の状況
4.1 組織及びその状況の理解
4.2 労働者及びその他利害関係者のニーズ及び期待の理解
4.3 OH&S マネジメントシステムの適用範囲の決定 4.1 一般要求事項
4.4 OH&S マネジメントシステム
5 リーダーシップ及び労働者の参加
5.1 リーダーシップ及びコミットメント
5.2 OH&S 方針 4.2 労働安全衛生方針
5.3 組織の役割、責任及び権限 4.4.1 資源、役割、実行責任、説明責任及び権限
5.4 労働者の協議及び参加 4.4.3.2 参加及び協議
6 計画 4.3 計画
6.1 リスク及び機会への取り組み
6.1.1 一般
6.1.2 危険源の特定並びにリスク及び機会の評価 4.3.1 危険源の特定、リスクアセスメント及び管理策の決定
6.1.2.1 危険源の特定
6.1.2.2 OH&S リスクとOH&SMS に対するその他のリスクの評価
6.1.2.3 OH&S 機会とOH&SMS に対するその他の機会の評価
6.1.3 法的要求事項及びその他要求事項の決定 4.3.2 法的及びその他の要求事項
6.1.4 取組みの計画策定
6.2 OH&S目標及びそれを達成するための計画策定 4.3.3 目的、目標及び実施計画
6.2.1 OH&S目標
6.2.2 OH&S目標を達成するための計画策定
7 支援 4.4 実施及び運用
7.1 資源 4.4.1 資源、役割、実行責任、説明責任及び権限
7.2 資源 4.4.2 力量、教育訓練及び自覚
7.3 認識
7.4 コミュニケーション 4.4.3.1 コミュニケーション、参加及び協議
7.4.1 一般 4.4.3.1 コミュニケーション
7.4.2 内部コミュニケーション
7.4.3 外部コミュニケーション
7.5 文書化した情報 4.4.4 文書類
7.5.1 一般
7.5.2 作成及び更新 4.4.5
4.5.4
文書管理/記録の管理
7.5.3 文書化した情報の管理
8 運用

8.1 運用の計画及び管理
4.4 実施及び運用
8.1.1 一般 4.4.6 運用管理
8.1.2 危険源の除去とOH&Sリスクの低減 4.3.1 危険源の特定、リスクアセスメント及び管理策の決定
8.1.3 変更の管理
8.1.4 購買(調達)
8.1.4.1 一般 4.4.6 運用管理
8.1.4.2 請負業者
8.1.4.3 外部委託
8.2 緊急事態への準備及び対応 4.4.7 緊急事態への準備及び対応
9 パフォーマンス評価 4.5 点検
9.1 モニタリング、測定、分析及び
パフォーマンス評価
4.5.1 監視及び測定
9.1.1 一般
9.1.2 順守評価 4.5.2 順守評価
9.2 内部監査 4.5.5 内部監査
9.2.1 一般
9.2.2 内部監査プログラム
9.3 マネジメントレビュー 4.6 マネジメントレビュー
10 改善
10.1 一般
10.2 インシデント、不適合及び是正処置 4.5.3 発生事象の調査、不適合、是正処置及び予防処置
10.3 継続的改善

OHSAS18001とISO45001の主な差異

4.1 組織及びその状況の理解

内部、外部の課題を特定することを要求しています。課題とは「状況」のことを指し、例えば次のような例を挙げることができます

1. 仕事の受注が増加傾向にある
2. 設備が老朽化している
3. 〇〇法が△月に施行予定

課題というとマイナスイメージを持たれるかもしれませんが、必ずしもそれだけではなく、組織の「強み」なども含まれます。
例えば、「福利厚生を充実させ、メンタルを含む健康に留意している」といった例を挙げることができます。

QMSやEMSを構築済みの場合

既に実施されている課題の特定結果を「労働安全衛生」の目線から見直していただく必要があります。
例えば、「環境マネジメント的には関係しないが、労働安全衛生マネジメント的には関係するような課題の見落としが無いかといった点の確認が必要です。

4.2 労働者及びその他利害関係者のニーズ及び期待の理解

まずは利害関係者とはどのような人や組織を指すのかを検討する必要があります。それをふまえて、利害関係者からの要望を特定します。利害関係者として次のような例を挙げることができます。

1. 労働者
2. 労働組合
3. 顧客
4. 業務委託先、協力会社

QMSやEMSを構築済みの場合

既に実施されている利害関係者とそのニーズの特定結果を「労働安全衛生」の目線から見直していただく必要があります。
例えば、品質マネジメントや環境マネジメントでは、労働者を利害関係者として定義していないようなケースが見受けられますが、労働安全衛生マネジメントにおいては、労働者を含めることが必須となります。

4.3 OH&SMSの適用範囲の決定

適用範囲を決定する際に、4.1と4.2の結果をふまえることを要求しています。

例えば、「4.1でAという課題を特定しておきながら、Aに直接関連する部門を除外する」といった適用範囲の設定は規格要求に沿っていないことになります。

逆に、「4.2で顧客からB工場での安全衛生の確保を要求されたからB工場だけを対象とする」といった設定は規格要求に沿うことになります。

QMSやEMSを構築済みの場合

未構築の場合と変わりません。基本スタンスはEMSと同じくサイト単位となります。

5.1 リーダーシップ及びコミットメント

全体的に、トップマネジメントによる関与が強化されました。大半はQMSやEMSと同じ内容ですが、次のような労働安全マネジメント特有の要求が追加されています。

  • 労働安全衛生を推進する文化を形成すること(労働安全衛生が重視されるようにすること)
  • インシデント、危険源、リスク等を報告した労働者を報復から擁護すること
  • 労働者の協議及び参加のプロセス(仕組み)を構築して実施すること
  • 安全衛生委員会の設置や委員会活動を支援すること(活動を承認したり資源を提供する)

具体的には、これらがトップインタビューで問われるようになるとお考えください。

QMSやEMSを構築済みの場合

トップインタビューの事前準備として、トップマネジメントは上記の内容がインタビュー時に問われることを把握してください。

6.1 リスク及び機会への取組み

大きな変更点は次の通りです。

  • 1. 機会の特定と取組み
  • 2. リスク及び機会を特定する際に、4.1と4.2を考慮すること
  • 3.「OH&Sリスク」と「リスク」の概念
  • 4. 危険源を特定するプロセスを構築維持する際に考慮する事項の追加

QMSやEMSを構築済みの場合

リスク及び機会を特定・評価するプロセスを統合するかどうかご検討ください。なお、OH&Sリスクの特定は従来通り、その他のリスクの特定はQMS、EMSと統合するという手法も考えられます。

9.1 モニタリング、測定、分析及び評価

モニタリング(監視)、測定だけでなく、「分析」「評価」が要求されるようになりました。監視、測定まで行ったが、その結果は放置しているという事例が多く、OH&SMSが有効に働いていないケースが多いため、より経営に寄与するようにしたいという趣旨です。

QMSやEMSを構築済みの場合

QMS、EMSの要求と同様なので、ほぼそのまま統合が可能です。

10 改善

「予防処置」の表現が無くなりました。ただし、概念自体はリスクマネジメントという形で残っています。なお、規格要求の文言からは削除されましたが、規程や手順、記録様式を削除しなくてはならないというわけではありません。
また、10.3として継続的改善の要求が追加されました。文書化した情報を「維持」「保持」することを要求していることにご注意ください。

QMSやEMSを構築済みの場合

10.3は、QMSやEMSよりも具体的に記述されています。具体的な活動を示しているので、QMSやEMSと統合する際には論点を落とさないようにご注意ください。

移行支援スケジュールサンプル

OHSAS18001からISO45001に移行するためのスケジュールは、おおよそ次のようになります。最初に、OH&SMSの見直しを行い、次にその運用をします。その後、内部監査やマネジメントレビューを経て、移行審査を受けます。

OHSAS18001からISO45001に移行するためのスケジュール

※OHSAS18001がプライベート認証の場合は、新規取得に従います。

認証取得までの主な費用

ISO45001へ移行するためには、審査費用がかかります。また、当社のようなコンサルティング会社をご利用いただいた場合はコンサルティング費用などの外部からの支援費用がかかることがあります。

1 審査費用 必須
2 外部からの支援費用
(コンサルティング費用)

費用1-審査費用

必ず必要となるのがISO45001の認証を得るための審査費用です。審査費用は一律ではなく、審査機関によって費用は異なります。業務の内容や対象人数などによって異なってきます。
詳細な費用は、審査機関にご確認ください。

審査費用を決める主な要素

1. 適用範囲

  • ①対象業務の内容
  • ②対象人数
  • ③対象サイト数(拠点数

2. 他のISO認証取得状況(同時審査等が可能かどうか)

3. 審査機関の選択(審査機関は任意で選択可能です)

審査費用の種類

種別 時期
移行審査費用 新規取得時
継続審査(サーベイランス・定期審査)費用 再認証と再認証の間
再認証審査(更新審査)費用 3年毎

費用2-外部からの支援費用(コンサルティング費用)

ISO45001移行コンサルティングの費用は、主に次のような要素によって決まります。

金額を決める主な要素

1 既存OH&SMSの内容 文書のボリューム、内容
2 統合有無 EMSやQMSとシステム統合するかどうか
3 期間 極端に短期間(6ヵ月以内)、極端に長期間(1年半以上)
4 対象組織規模
事業内容
調査や分析にどの程度の時間を要するか
監査にどの程度の時間を要するか
5 支援範囲 どの工程を支援するか
6 支援内容 アドバイス中心なのか、作業支援が必要なのか 等

ご相談やお見積りは、下記の電話番号、
もしくはメールフォームにて承っております。
お気軽にご相談ください。

受付時間:平日 9:00~18:00